“聖地ダンブッラ黄金寺院”
2024年12月5日
紀元前3世紀から造立がはじまったとされるダンブッラ石窟寺院は、スリランカ中部のダンブラに位置し、180メートルの岩山の中腹に岩を穿つようにつくられています。紆余曲折を経て、現在内部は5つの石窟によって構成されています。
仏教信仰の盛んだったスリランカには、多くの石窟寺院が存在していますが、このランギリ・ダンブラ節句寺院がもっとも保存状態が良く、美しい寺院だとされています。
その荘厳な壁画や仏像が織りなす世界は、静寂と神秘に包まれる、まさに歴史と芸術が融合した聖なる空間です。
自然の造形美と人々の信仰心が生み出したスリランカ随一のパワースポットであり、黄金に輝く仏像や鮮やかな壁画は、訪れる者に深い感動と安らぎを与え、神秘的な聖地として君臨しています。
ダンブラ黄金寺院には5つの石窟に153の釈迦像、歴代王の3つの像、4体のヒンドゥーの神像がまつられています。紀元前から現代まで一貫して仏教施設だったことはある意味奇跡だといえ、12世紀にスリランカ仏教が大寺派に統一される以前のヒンドゥー色が残っているのが興味深い。
ワッタガーマニー・アバヤ王が南インドからの侵略から逃れてこの地で保護されたこと、そして彼が再びアヌラーダプラへ戻る際にこの地に寺院を建立したという歴史的な背景を交えることで、寺院の持つ重みや意義をより深く理解することができます。
紀元前1世紀のアヌラダプラ時代に、時のシンハラ王はタミール人によって首都から追放されるが、ダンブラの僧院によって保護され、15年後にアヌラダプラへと帰還する。王はこれを深く感謝し、ダンブラ僧院は寺院へと鞍替えすることとなった。
その後も増改築を重ねたダンブッラ石窟寺院はポロンナルワ朝最後の王ニッサンカ・マッラによって金箔で飾られるなど今の姿に近い外観となりました。
ダンブッラは1991年に世界文化遺産に登録されていますが、その登録基準は、①人類の創造的才能を表現する傑作 ⑥顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの の2点を満たすものであり、長きにわたって現役の信仰対象であり続けていることは特筆すべき事実であろうと思います。
この黄金寺院は、強力なパワースポットとして人気がありますが、その見事な仏教芸術や存在価値は、スリランカ中部でも特異で、周辺には人気の観光スポットがひしめいていますが、是非とも時間をつくって鑑賞していってほしいと思っています。
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