


Column
2025年2月17日
1942年ごろ、南方作戦を展開していた日本軍は、南方軍を介して様々な動物を捕獲し、日本に持ち帰っています。「八紘」と名づけられたヒョウが有名ですが、海軍はコモドドラゴンを捕獲して昭和天皇に献上、御覧ののち上野動物園にお下げ渡しとなり、公開され人気を博したのだそうです。
面白いのは、海軍大佐 城英一郎の日記にこの一件が記録されているのですが、海軍はこれを「蛟龍」として献上してるんですね。蛟龍とは、成長過程の龍の幼生のことで、本気でそう思っていたのかどうか定かではありませんが、つまりはドラゴンだったわけですね。日本ではコモドオオトカゲと呼ばれてきましたけど、日本にはじめて紹介された個体はコモドドラゴンとして来たというのが興味深いです。
ところが、生物学に造詣の深かった昭和天皇は、コモドドラゴンの存在を知っていたようで、「コモドエシス」というトカゲだよと言ったことが、前述の城英一郎日記に出てきます。
献上された個体は2匹だったといいますので、つがいだったのでしょうか?よく捕まえたと思いますし、動物園での扱いも大変だったのではないかと想像しますが、日本とコモドドラゴンの関わりが深かったというのが面白いですよね。
ちなみに、この「蛟龍」というのは、のちに潜水艦の名前にも採用されていますが、昭和天皇に“蛟龍です”と紹介した海軍が、同じ名前を潜水艦に付けたわけですから、コモドドラゴンが念頭にあったとも思えますし、よっぽどコモドドラゴンが気にいったのか、少なくとも“最強の爬虫類だ”と評価していたことが想像できますね。