Column
2025年1月16日
TikTokで「komodo dragon」と検索すると、コモド島かリンチャ島と思われる場所で、コモドドラゴンがヤギや水牛の子を襲って丸呑みする動画がたくさん出てきますが、なかなか衝撃的な動画ですよね。
肉食の大型爬虫類ですので日常的な風景なわけですが、よく見ると成体の水牛や自分より大きな野生動物には向かっていきません。やはりお互い生死がかかってますので、スキがなければそう簡単には決闘できないということでしょう。
また、群れで狩りをする生き物ですので、相手が1頭で味方が多数いる場合などは大きな獲物でも仕掛けていくようです。これを人間に当てはめると、人間が1人でいる場合などは危険です。昨年2024年にシンガポールから来た観光客が単独行動を取って、コモドドラゴンの身体を踏んづけてしまい、反撃されて太ももに大けがを負う事故がありました。私もその写真を見ましたが、漫画に出てきそうなほど太ももを大きな爪でえぐられた跡が残る痛々しいものでした。
その他ここ数年であったケースは、いずれも単独行動かレンジャーがいない時に事故が起きています。中には、レンジャー自身ベンチで昼寝をしていてドラゴンに引っかかれたなんていうこともありました。
TikTokの動画を観ていますと、撮影者と動画にでてくる人の2人ぐらいしか写っておらず、レンジャーがすぐ近くにいないと思われるものが出てきますが、非常に危ないですね。コモドオオトカゲからどの位の距離を保って撮影しているのかわかりませんが、しつこくまとわりついているとドラゴンは怒り出しますので、急に方向を変えて向かってこないとも限りません。
インパクトのある動画を撮ろうとするあまり、事故になってドラゴンが悪者になりかねないなと心配になります。
さて、本題のコモドドラゴンは人間を食べるかどうかですが、お腹が減っていて人間が単独行動、ドラゴンが複数いる場合には食べられる可能性があるかと思います。(コモドドラゴン側の)リスクが大きいので1対1ではとても食べようとは思わないでしょう。
それ以前にコモドドラゴンにとっても人間のことを“何をしてくるか分からない突っ立った生き物たち”だと認識してるでしょうから、そうそう襲ってはこないでしょう。なにより道具を持っているのがコワいでしょうから。
それに、少なくともコモド島やリンチャ島で観光客の周囲にいるドラゴンたちに関しては、あまりに毎日ヒトが訪れるもので、狩りをする対象などとは思っていないのではないかと思います。
ということで、安全にドラゴンに会うには、必ずレンジャーに同行してもらうことがもっとも大事ですが、レンジャーがいることでドラゴンに警戒心を持たせるという意味もあります。それから、ドラゴンは気が立つと凶暴になることがありますので、あまり怒らせるような行動は取らない方が良いと思います。
普通に観光でコモドドラゴン見学をするのが危ないとは思いませんが、狩りをしなくても良い動物園のオオトカゲとは違いますので、レンジャーの後方から少し遠目に見るというのが無難かもしれません。